2011年

8月

19日

良薬は口に苦し、と言うけど。

本音は、どんな良い本でも,読ませる技術がないとね。の話し。

 

これだけは読んでおけとの友人の勧めもあって、米国でベストセラーとなった(2005)、ジャレッド・ダイアモンド著の「文明崩壊」を読んだ。

ハードカバーの上下巻ある大作を図書館で借り、2週間後の返却日に,再度借り受けるイベントを繰り返すこと4回、ほぼ2ヶ月に渡る読書であった。

これは読書はあったが、読了ではない。上巻の約3分の1,百頁ほでしか読んでなかったのだ。

 最後の返却日に、「次回はどうされますか?」と図書館員が聞いてきたので、独りで長く借りっ放しの後ろめたさもあって、再度借りるつもりであったのに、つい、「お返しします」と言ってしまった。その時は,しまった,他の人に借りられたら,当分読めなくなるぞ、と直ぐに後悔したのだが…。

 何と,図書館を出ると,足取りも軽く、なにやら気分も爽快になった。

まぁ、文明崩壊もぼく独りでどうなるものでもないからね。

そう、そんな使命感の呪縛から解放されて,肩の荷が一変に降りた訳だ。

 

 文明を生態学的に分析しながら、その崩壊の原因を探る,実にまじめな本であるが、その検証の叙述が長くて、それを教わるぼくは、直ぐにこくりこくりと睡魔に襲われる。

 

思うに自分が読みたい本はそのテーマに関心があって、作者の考え方に共感があるからだろうが、その思いや感動を最後まで持続させるには,やはり,熟練の構成と技術が作者に必要ではないか、と良書の未読は他人せいにする。

 

さて、今年のお盆休みは、読書で過ごした。

「小説家」勝目梓著 一晩で読み上げた。小説風だが、より正確な自伝ではないか。面白かった。

「移行期的混乱/経済成長神話の終わり」平川克美著 作者の人柄が匂う文体。こんな知性に出会ったのは、近年なかったこと、素敵でした。でも、正確さを期して「断定」がないのが淋しい。

「日本中枢の崩壊」古賀茂明著 最近のベストセラー。作者は現役の経産省の官僚。悪知恵の官僚を,実名で記述する内容は楽しい。だが、立場が変われば,別の見解も。正確さに疑問。この本を読んでたら,平川氏の知性が懐かしくなった。

 

下描き
下描き
水彩パース
水彩パース
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